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気管支喘息の治療(発作時)

発作時の治療について

気管支喘息発作の際に使われる薬は主に短時間作用性β2刺激薬(SABA)、ステロイド薬(内服、点滴)、テオフィリン薬、アドレナリン薬です。

(1) 吸入β2刺激薬

発作が起こった場合にはとても大事な薬です。狭くなった気管支を拡張させ、即効性があるために症状はすぐに緩和します。短時間作用性の吸入抗コリン薬(SAMA)を追加することでさらなる拡張効果が得られる場合もありますが、通常はSABAのみで十分です。またネブライザーによる吸入も適しており、当院でもネブライザーで吸入していただいています。即効性があり有効性も強いのですが、「気管支喘息の治療(長期管理)」で記載の通りSABA単独で頻回に吸っていると、発作時に吸入の効果が乏しく、呼吸状態を改善できないことがあります。くれぐれも自宅で治療している際は、医師の指示に従っていただき、SABAのみを頻回に使用することのないようにご注意ください。


(2) 副腎皮質ステロイド

気管支喘息発作の際にはSABAに次いで重要な薬剤です。軽度の場合は内服のステロイド治療、中等度以上の場合は点滴のステロイド治療を行います。症状の強さや発症時間をもとに使用するステロイド薬の量や種類を決めています。

またNSAIDs過敏喘息(NERD)という特殊な機序の喘息には注意が必要です。以前はアスピリン喘息といわれていました。医師側でも確認するのですが、もし過去に痛み止めを内服した後に息が苦しくなったり、鼻が詰まったりしたことがある場合はお伝えください。その場合コハク酸エステル型のステロイド製剤により発作が強くなる可能性があるので、使用ステロイド薬はリン酸エステル型ステロイド製剤であるデキサメタゾン、ベタメタゾンなどを使います。また数秒で薬を注射する静脈注射で大きな発作が起こることがあることから、当院では安全のために通常の喘息発作も含めて、全例1-2時間かけて点滴注射を行うようにしています。


(3) テオフィリン薬

テオフィリン薬は発作の際には補助的に使われる薬剤です。気管支拡張作用を有しています。また前述のβ2刺激薬に相加的な作用を有する点も有益です。

注意すべき点としてテオフィリンは有効な血中濃度と中毒となる血中濃度が近いことが知られています。中毒域の血中濃度になると悪心、不整脈などの副作用が出現しやすくなります。また他の薬剤との飲み合わせが悪いことも注意が必要です。


(4) アドレナリン(0.1%)薬

アドレナリン薬は重症の時のみに使用する重要な薬剤です。アドレナリン注射薬はβ作用という気管支平滑筋をゆるめる作用と、α作用という気管支の粘膜のむくみを除去する作用で気管支を拡げます。

(1)-(3)の治療に反応不良もしくは重症の呼吸不全となっている場合は、不整脈や心停止などに注意しながら慎重にアドレナリンを皮下注射で使用します。心拍数が上がりすぎないようにします。医師の判断による緊急度、重症度の評価で投与経路や量は変わります。


(5) 吸入抗コリン薬

前述の通りでβ2刺激薬との相加的作用による気管支拡張作用が期待できます。


(6) 酸素投与

動脈血酸素飽和度(SpO2)が95%を目標に酸素投与をします。低酸素血症は気道平滑筋を収縮させて、喘息発作の増悪因子にもなります。